<P.B.シェリーレポート>

制作日:2004年1月


大学の語学の単位が与えられる授業の最終評価レポート。語学と言うより英文
学であり、テーマはイギリスロマン派(特に第二世代)の詩人の作品を読む、
というもの。スタイルは完全に少人数のゼミ形式。慣れない分野の授業であり、
教官の問に沈黙で答えることができないという損な性格もあり、いつも見当は
ずれの発表をする浮いた自分を意識させられ、精神的に追いつめられる辛い授
業だった。が、半年間かじり付いて行った結果、翌学期からは自信を持って詩
の読解の授業に臨めるようになった。
レポートに求められたのは特定の詩を読解することだったのだが、私の個人的
な趣味として、作品を読む際には作者の人間性を踏まえて読みたいという思い
があるので、手に入った参考文献とも相談した結果、長編詩を読解する中で、
シェリーという人物に照準してゆく、というテーマを設定した。しかし、考え
れば分かることだが無謀な試みであり、膨大な時間を消費することになった。
しかし、それだけに情報として参考になる物になったと思う。
教官はレポートが期限までに書けない場合は連絡せよと指示していたが、正に
その連絡をして指示を請う羽目に陥る。その時点でテーマが無謀なので「西風
の賦」など短めの詩を読むようにと指示を受けたが、やはり元のテーマを捨て
きれずに、元のテーマに「西風の賦」の読解を付け加えたレポートが完成した。
評価は優。教官は極めて指導熱心な方で、丁寧な講評をつけてレポートを返却
して下さった。以下がその講評である。

 非常によく考察された(またリサーチも行き届いた)レポートで、興味深
 く読みました。"Ode to the West Wind"とその前のShelleyの思想の成熟
 を論じた部分とのつながりはあまりよくありませんが、それは"Ode-"の読解
 を付け加えるように、私があとから言ったので仕方がないですね。
 形式面でいくつか注意をしておくと、


これほど事細かな講評を全受講生にしているのだから頭が下がる。研究だけで
なく、きちんと教育もしようとする教官は貴重。
なおレポートが大詰めにさしかかってから、ネット検索をしていて気付いたの
だが、教官の専門はP.B.シェリーで、しかも「西風の賦」は教官がロマン派の
詩に目覚める切っ掛けの詩だったようである。

内容だが、「はじめに」はいつもの事ながら言い訳がましいものの、内容解説
と参考文献に関する情報を提供している。そこで言及されている"Ozymandias"
はシェリーが友人との競作という形で書いたソネット(14行の定型詩)であり、
授業で読んだ物である。
また2−iii "The Revolt of Islam" 中にある「Horace SmithがShelleyと
競って制作した『Ozymandias』」とは、このとき競作相手であったシェリーの
友人で金融職員、ホラース・スミスの作を指す。スミスはこの詩をシェリーと
競作したという事実のみによって言及されるマイナーな人物。

<もくじ>

  1. Percy Bysshe Shelley概説
  2. 作品に見るShelleyの思想的変遷
    1. Queen Mab(1811-1813)
    2. Alastor(1815)
    3. The Revolt of Islam(1817)
    4. Prometheus Unbound(1818-1819)
  3. Ode to the West Wind


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