<社会経済学>

制作日:2004年8月31日


2004年夏学期に開講された、消費社会論・都市論に関する講義の最終評価レ
ポート。課題図書の中から2冊を選んでまとめ、自分の考えを述べるというも
の。選んだ書籍は以下の2冊。評価は優。

K・ポランニー『大転換』
松原隆一郎『消費資本主義のゆくえ』

基本的な路線は、経済・経済学における「新古典派経済学&自由主義市場経済/
社会経済学&非市場主義経済」という対立軸を「非コンテクスト・概念型思考/
コンテクスト型思考」という対立関係に読み替えて、哲学論文で論じたような
「概念型思考は現実との齟齬をきたすが、概念型思考にも見るべきものはあり
一概に否定はできない」という方向に持ち込んでいる。このグランドセオリー
を武器にして、経済活動と社会の有り様と個人のアイデンティティという、まっ
たく異なる次元の問題を有機的に連関させようとした点に、本レポートの眼目
があると言えよう。
ただし、このレポートでは「概念型思考にも見るべきものはあり」という部分
がかなり弱く、非コンテクスト・概念型思考を一方的に批判するようなスタイ
ルになっている。この点は少々バランスが悪いかも知れない。
なお4.『消費資本主義のゆくえ』を踏まえて(感想2)の「社会無き経済世
界に満ちあふれている」4点の「人間の成熟を否定する要素」のうち(3) 生産
要素市場が要請するフィギュアとしての人間 に関する記述は、少々やりすぎ
かも知れない。職場毎に労働環境は異なる。ここの記述は主に非熟練労働者に
よる接客業をイメージして書いている。労働が即自己実現であるような労働の
在り方も可能なことは、よく踏まえておくべきだろう。



<もくじ>

  1. カール・ポランニー『大転換』要約
  2. 『大転換』を踏まえて(感想1)
  3. 松原隆一郎『消費資本主義のゆくえ』要約
  4. 『消費資本主義のゆくえ』を踏まえて(感想2)
  5. おわりに


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