本書は現代社会の経済制度を「消費資本主義」と位置づけ、その展開史を二つの
軸に基づく4象限分類枠組みを用いつつ、ヴィクトリア朝イギリスに始まる欧米
社会・終戦直後から現代に至る日本社会について検証、その性質が新古典派経済
学ではまったく汲み取れない性質のものであること、新古典派経済学が主張する
日本時事問題への処方が見当違いのものであることを述べ、消費資本主義の(や
や暗い)現状と見通しを語る。
消費資本主義の展開史を分析する二つの軸とは
(1)消費の為される場が対面的か公開的か (2)財の選択が社会的に共有された価値観に沿って為されるか、そのような価値観
からある程度独立して為されるか
の二つであり、欧米、日本ともやや例外はあるものの、
という順序を辿っていると論じる。消費資本主義の特徴は、経済全体について言
えば、経済規模等について消費が決定的な役割を果たすことであり、そこに属す
る個人について言えば、如何なる財を消費するかがそのひとの個性・社会性を決
定することである。