<ヒューム因果論3>

制作日:2005年2月18日


本レポートは2003年度冬学期から2004年度冬学期、3学期間に渡って
開講された連続形式授業の3本目、最後の最終評価レポートである。講
義内容は、18世紀の哲学者デビッド・ヒュームの因果論を考える、とい
うもの。「人間本性論(人性論)」の一部を時間をかけて読んだ。学期
毎に参加者は減り、最後は惨憺たる状況を呈していた。次の学期からは、
最近他界した哲学者デビッドソンの行為論の論文を読んでいる。

レポート内容は、1年半目にしてようやく内容のあるものになった、とい
う印象である。第1部でヒューム因果論と同名因果説との再定位を行う。
先学期のレポートを自己批判することになったが、なかなか綺麗に論じる
ことができた、と自分では思っている。第2部は比較的あっさりした内容
だが、ようやく明快な形で哲学論文における因果理論の考究に社会学的課
題を接合できた。

なお、この論文以降の半年間で、多少の進展があった。すなわち「コンテ
クスト」という概念を導入し、これまで「連続体的・非概念的」の名で呼
んできたものを「コンテクスト尊重・コンテクスト依存」すなわちコンテ
クスト型と捉え、概念的思考を「コンテクスト超越的・コンテクスト逸脱
型・コンテクスト無視」すなわちアンチ・コンテクスト型ないし概念依拠
型と捉え直した。そして社会学論文では既にその方向性を示していたが、
コンテクスト型こそが現実の細部を捉えるのに対し、アンチ・コンテクス
ト型は細部を取り落として暴力的になる可能性を秘める反面、現実を超越
して理想へと接近する力学をも秘めていると論じる。今後哲学論文をどの
方向で書いていけばいいのか分からないが、社会学論文とは確実にコネク
ションが強化されひとつの体系をなしつつあるように思う。


<もくじ>

  1. ヒュームの因果論
  2. 「事物=連続体」観における因果論の問題
  3. まとめ


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