"Set Phi"

＜ビラ文面＞
Q. このビラは何ですか？ A. 東京大学点友会が新入生諸君に入部してほしい一心で作ったビラで
す。Q.質疑応答形式なんですか？ A. そうです。斬新でしょう？ A2. 別に……　A3. ああ、そう
（憮然）Q. あの、天優会って何なんですか？？？ A.おお、良い質問をしてくれた。しかし字が
違うな。「天優会」じゃない「点友会」だ。点字を扱うサークルです。（実際、ときどき「天優
会＝暴走族？」と間違われますが……）Q. 点字って、あの駅とかにある点字ですか？ A. そうで
す。あの点字です。Q. わあ、楽しそうですね！ A.サクラは良いが、いかにもヤラセっぽいのは
どうかな。Q. 点字を扱うって、具体的にどういう事です？ Q. ああ、いいね、その模範的質問。
オリエンテーション委員会のホームページ（http://www.a103.net/ori/2003/）や冊子『槌
音』も参照してほしいのですが、つまり視覚障害者の依頼を受けて、目で読む本や文書類を触っ
て読める点字の文書になおす、という、つまりいま流行の「ボランティア」というやつです。Q.
それって、つまんなくないスか？ A. はげしく突っ込むねキミ。いやいや、点字文書１つ仕上
がって、渡して「ありがとう」と言われるのは、まんざら悪くもないですよ。これは本当ね。Q.
ほかにもいろいろ、やるんでしょう？ A. 君、さっきから質問の筋がいいぞ。学園祭に研究発表
や出店を出したり、年に二回、合宿を企画したりしています。それで何より、その中で視覚障害
者と交流するわけですよ。そのうち、誰が視覚障害とか、あんまり気にならなくなりますけど
ね。Q. 視覚障害者と触れ合う機会は多いんですか？A. そうですね、けっこう多いですよ。その
気になればいくらでも、という感じです。点友会のメンバーにも、院生で点字使用者がいます
し。Q. 部員は何人くらいですか？ A. まあ、幽霊部員もいますから、正確な数字はよく分からな
いんですが……とりあえず20名くらい、と言っておきましょう。Q. ちょっと少ないですか？ A.
そう！　だから入部してほしいわけ！　We need YOU！ Q.うざい……　A.ひどぉい……　Q. 部
員の男女比はどうですか？　A.うーん、男：女＝１：１～２：１くらいですかね。Q.点字につい
て、何も知らないんですけど、大丈夫ですか？A.ああ、問題ないですね。部員のほとんどが初心
者として入部します。Q.活動はキツイですか？　他のサークルと掛け持ちできますか？ A.掛け持
ちは可能です。というか、掛け持ちの部員が非常に多いです。それが悩みの種なんですけどね。
まあ、それ以上に部員数不足に悩んでいたりするので、掛け持ちでも何でも覗いてみてくれると
嬉しいです。そんなにきつくないですよ。Q. なんだか質問が普通になっていませんか？ A. いい
じゃないですか。好きですよ。普通だってこと。Q. 具体的に、活動によって拘束される時間はど
れくらいですか？ A. 基本は週に一回、放課後に開かれる部会のみです。6時から8時くらいで
しょうか。仕事を請け負ったら、さらに週１コマくらい空きコマを使って、点字文書作成に当た
ります。その他に臨時で学園祭の準備をしたりもしますし、休みには合宿へ行ったりもします。
それくらいかな。講義にきちんと出て、バイトを１つやって、友達と遊んだり本を読んだり、自
分の勉強もして、さらに点友会の活動もして、というスケジュールも、充分可能です。Q. 部の雰
囲気を教えてください。A. 楽しいです！　と言われて、納得できますか？　点友会ホームペー
ジ（http://honkom10.hp.infoseek.co.jp/）の掲示板を覗いてみるのが一番だと思いますよ。
あと説明会に参加してみるのも１つの手ですが、皆さん同様、我々も緊張していますから、必ず
しもいつもの雰囲気が出るとは限りませんね。まあ、なるたけリラックスして皆さんと向き合い
たいですけど。雰囲気の合う合わないは重要ですから、よく見極めるといいでしょう。基本的
に、まったりふわふわな感じですが、真面目な人もいます。Q. 貴方は誰ですか？ A. プライベー
トを訊くとは、小学生なみのネタだな。Q. 私は誰ですか？ A.哲学的な問いですね。Q. 私と貴方
はこうして質疑応答していますが、この原稿は１人の人間の手によるものですよね？　私は誰で
すか？　貴方は誰ですか？ A.ぇ？　ええ？　私は私だけれど貴方も私であり私と僕、ボク？　
僕は君と私の弁証法的運動による止揚として成立する１つのプロパガンダあるいは両極性の収斂
活動、いわばコペルニクス的転回における楕円の意義とも関連する１つの他者へと現れた顔であ
り、その顔は他者の裡での無限の翻訳過程を通じて宇宙的拡がりをもつ多様な私＝貴方へと展開
し、それはいわばデリダの述べた「著者の手を離れたテクスト」の典型例とも言うべきもので
あって、その無限のバリアント達は時に全く逆の相貌を現す、そう！　まるでレヴィ＝ストロー
スの神話学における構造のように……神話？　神？　紙？　点字用紙？？？　点＝０＝太＝
神？？？？？ Q. 次の質問、いいっすか？ A. おお、ついつい頭脳がポスト・コローニアルな脱構
築を引き起こしてしまった。次の質問？　何かな？ Q.っつうか、サークルオリはどこでやるんで
すか？A.おお！　それは大事な質問だ。サークルオリは一号館の112教室つまり正面から入って
すぐ左の部屋でやっている。あんまし激しい勧誘はしないから、疲れたら来ると良い。それから
4月14(月)と22(火)には、同じ１号館112で、午後６時半から、改めて説明会も開くぞ。説明会
後は新歓コンパorお食事会も企画するから、ぜひ飲み食いに来たまえ。当然ながら新入生は無料
だ。飲んで喰って、気に入ったら点友会に居つけばいい。Q. 貴方は誰ですか？　なんか、さっき
と違いますよ？ A. ええ？　何を言っているんだ。僕は私だよ。僕＝私＝貴方＝点字用紙？？？
A2. ごめんなさい、ちょっと動作が不安定みたいで。私が代わります。Q. さっきの人、何なんで
すか？A.ちょっとロボットっぽくて。でも壊れやすくて。Q. 点友会の部費はいくら払うことにな
りますか？ A. ええと、部費は基本的に徴収しません。Q. 点字を打つのに、何か道具を買ったり
しますか？ A.買う必要はありません。仕事は部のパソコンを使って行います。普段の練習は、
点字タイプライターや携帯用点字器で行いますが、それは部の備品を使います。自分の点字器が
ほしければ、1000円で手に入りますけどね。テキストも部の備品であります。自分用がほしけ
れば、これも1000円。Q.じゃ、とくにお金はかかりませんか。A. はい。特に新入生のうちは。
Q. 合宿が二度あると言いましたね？ A. はい、一度は点字練習のため、もう一度は懇親旅行で
す。が、点字練習は駒場キャンパスに通って行うよう変更したり、懇親旅行は一泊二日だったり
で、そう大げさなものじゃないですね。大々的にやりたければ、新入生の意向に添いますが。Q.
懇親旅行はどんな感じですか？ A.いたってまったりです。去年は甲府で葡萄狩りして、ワイン
飲んで、温泉に浸かって、夜通しトランプやって、翌日眠い目をこすりこすり甲府城趾にのぼ
り、城跡でお昼寝して帰ってきました。。。Q.あら、まったり。A.ええ、はんなり。Q.私、お酒
が苦手なんですけど……　A.ぜんぜん問題なしです。飲みは極めて穏やかで、アルコールは一切
飲まないと言う人も複数います。飲み放題にすると採算がとれないので、あまり飲み放題にしま
せん。飲む人もいますけど、乱れる人はいませんね。Q. 点友会に入りたかったら、どうしたらい
いですか？ A.手続きとかはありませんから「入りたい」と言ってくれれば「入ってください」
となります。説明会に来てくれてもいいですし、ある日の部会にいきなり顔を出すも可。
ＸＸＸＸ（phichoark@mac.com XXX-XXXX-XXXX)かＯＯＯＯ（ooooo@oooo.ooo OOO-
OOOO-OOOO）に連絡をくれてもいいです。いっしょに「てんてん」打ってみましょう。Q.僕は
入りたくないなあ。A.あら、残念。それじゃ、このビラはリサイクルに出してくださいね。教室
に設置されたクリーンボックスに入れてもらえればＯＫですから。