グループ展「BLUE Spiral」出展作品
「定めなき者#02」

2005年6月、知人の画家いしだ典子氏(リンク参照)に誘われ、仲間と原宿の
画廊を一週間借りグループ展を開いた。その際出展した2点のうちの1作品。
知人の画家松本真由子氏の作品集に触発され制作した「定めなき者#01」と
同じモチーフを用いている。ただし全体をモノクロにまとめた。
大きさは過去に例のないB1サイズ。自宅のプリンタでは出力できないため、
出力サービスを利用して出力し、墨で左下のオブジェを書き加えて装額した。
しかし、完成後に額の中で紙が歪みシワを生じることを発見。ケントボードに
スプレーのりで接着して裏打ちし出品した。しかし会場の湿度に負け、作品は
展示会場で無惨に歪みシワを生じた。大失敗、である。
フェデックスキンコーズの光沢紙は市販のインクジェットプリンタ専用光沢紙
よりかなり薄いので、通常の専用紙風のものであれば耐えるのかも知れない。
あるいは裏打ちが不十分だったのが原因で、もっとしっかり貼るべきなのか。
少なくとも現在私が持っている技術で形にできるのは、A3サイズが限界だと
思い知らされた。

なお墨描き部は水を混じた墨汁を筆で幾筋も走らせ、そこにストロー状のもの
を各種各サイズ用意して墨をつけ型押しの要領で円を描き、ストローの先に墨
を付けてシャボン玉の要領で脹らませては紙の上で破裂させ、すべて乾いたら
ボールペンで線を書き足した。ボールペンの細い線は髪筋のようであり、膠を
含む墨汁は奇怪に艶めかしい撥ね方をする。この技法はもう少し実験したい。

なお、テクストを横書き右揃えにした上、文字間隔を行間より長くしてある。
使われている語彙が分かりにくいことと相まって、大抵の人は、縦書きとして
読みそうになる。当然、何と読んだらいいのか分からず混乱する。詩の渺々と
して掴み所のないイメージを強化するために採った作戦である。なかなか功を
奏したようだ。


<添付詩>
泡沫(うたかた)に刻まれし
君の名はや
泡沫に揺れる
君は我が夢か
泡沫に
君のたなごころはや
君の名はや

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カメラの扱いに慣れていないせいで、ろくな写真が撮れていない。
美術をやるなら、自分の作品の写真くらい綺麗にとれた方が良い。