<題名>
Tales of Wind
<中央部挿入文>
夜がおとずれ、人々は眠りにつく
風が、木々が、星々が
また様々の眠っている生き物達の
その体を抜け出した夢達が
ありとあらゆる形の無い者達が
何かを語らいはじめる
静かに
何にもまして静かに
深い深い水底にたゆたうように
静かに
神々の声に耳を傾ける者は、時として人々が眠っている間に、
丘の上に立って耳をすます。そうして神々のつぶやきを聞く。
静かな夜には、風の中に、昼には動物や植物の形をとっている
者達の声が聞こえる。先祖の魂の声が聞こえる。風の中に意識
を滑り込ませると、何かを囁きつつ耳もとを通り過ぎていく風
の中の声が、少し、また少しと、断片的に聞こえてくる。取り
留めの無い連続。取り留めの無い流れ、形を結び、また消えて
いく様々のもの。様々のものたち・・・・・