執筆:2005年05月19日
風が風が吹くいつでも頭の上をかすめて
髪を数本さらって吹く風はいつも同じ5cm上
遙か空を見遙かせば?
そんな遠くを見る目も無いな
さらさらとしたものばかりを
カテーテルで心臓に流し込んでいれば
なるほど人間は塩に変わる道理か
しかし心臓から血管と骨が塩に変わっても
神経と胃袋は後まで残るじゃないか肉は心より確かで
ああだから恋人よ五寸釘のついたミシンで
縫い合わせてくれよ僕の頭蓋骨を
でないとほら、割れ目からまた悪魔が這い出していく。
波が繰り返しさらう浜辺を僕の目を
それで誰もが気が狂ったように砂浜を掘って首まで埋めて
津波が来るのをじっと待つ群衆の目と口はなんてデカイ
波がさらいすぎて全ての浜がぬめりとする頃に
僕らは生まれたのかヘラヘラ笑うことばかり得意で
塩に変われるのは骨と血管
いつまで経っても神経と胃袋はあくまで肉で
それで実験が失敗だと言ったときには大概手遅れで
困った外科医は機関銃にメスをセットする始末
風はいつでも5cmほど上を吹きすぎる
ああだから恋人よ五寸釘をたくさん用意して
所かまわず打ち付けてくれ僕がバラバラになる前に
でないとほら、神経と胃袋を残して
骨と血管は塩になってしまうから早くして
中途半端に塩の柱になった罪深い僕の頭蓋骨から
妙に白茶けた皮膚の悪魔がひょいと出て
うっひひひ
てな笑って遁走を決め込む前に五寸釘がああ足りない。