<死体に関する命題と嘘>

執筆:2004年9月11日


死体は死んでいる。
死体は全体的に粘着質である。
死体は常に生体を参照する。
死体は見られる他者である。
死体は始まりである。

死体の処理は文化ごとに違うが、死体は全て同一である。
死は平等に訪れるが、死体は生体との接触面においてアンフェアである。
死体は沈黙しているが生体を積極的に浸食する。
生体は死体について一方的に語るが、死体に対し何事をもし得ない。
死体は主体であることを逃れつつ積極的に強迫する。
死体は活き活きとした刺激である。
死体は活発な夢である。
死体は共有され紐帯となる。

死体は死体ではない。
死体は共有される夢であり理想である。
死体は可能性である。
死体は光と闇である。
死体は、歌である。

私は死体を恐れ、かつ愛しつつ死体へ向けて滑落し、滑落死する。
死体は私であり、扉であり、宇宙である。
つまり原初である。