東欧という地域は文化的、社会的、政治的に西欧とも、無論アジ
アとも異なる独自の特徴をもっており興味深いが、本レポートはそ
のうち政治思想的側面に注目する。世界に紛争の種は尽きないが、
20世紀の前半において東欧及び旧ソ連圏からなる地域が、殊にその
ような事例を多く抱え、苦しんできたことは論を待たない。すると
これらの事例を調べることは、世界の紛争状況について些かなりと
有意義な知見をもたらしてくれるのではないだろうか。
具体的にはポーランド国境の変遷を見る。この国は二度の大戦の
戦間期にピウスツキの指導下に拡張政策を推し進めているが、この
際、国家の東西で異なる国境の論理を用いた点が興味を惹く。何か
しら興味深い示唆を与えてくれることを期待したい。