※ここではシェイクスピアの作品のうち、新潮文庫に収録された作
品を中心に、同文庫の「解題」「解説」を参考に製作年代、当時の
出版事情と定本、製作の種本となった他の作品、および各作品の雰
囲気、テーマ、込められた思想などについてまとめる。
27. 『ペリクリーズ』『シンベリン』『冬の夜話』
(1) 概観
悲劇時代末期、ないしはロマン劇時代と称される時代の四作品の
うち、『あらし』を除くこれら三作品は、すべて(1)仮死状態に
陥った人が「死んだ」と誤解される(2)離散した家族が偶然ふた
たび出会い、喜びのうちに幕を閉じる(3)家族再会の喜びに、子
供たちの祝福された結婚という喜びが重なる等の点で一致している。
奇妙な一致と言うべきもので、シェイクスピアの何がこの構造に執着
させたのか、興味を引かれる。
(2) 作劇年代
『ペリクリーズ』1608年〜1609年頃。
『シンベリン』1609年〜1610年頃。
『冬の夜話』1610年〜1611年頃。
(5) 雰囲気・テーマ・思想
全ての作品が丸く収まって幸福のうちに幕を閉じるにも関わらず、
(※原稿断絶)