(0.0). 万物に先行する「理」を潜在論理と称する。
(0.0).(0.0) 潜在論理は唯一である。
(0.0).(1.0) 潜在論理は言語によって顕在化する。
(0.0).(1.1) 顕在化した論理は厳密性に差異がある。もっとも厳密な顕在化した論理は現代科学のそれであろう。
(0.0).(2.0) 潜在論理は相対的な関係を与えるものであって、絶対的な意味を与えない。
(0.0).(2.1) 潜在論理の地平において、万物に意味はない。このことを第一真実と呼ぶ。
(0.1). 最も抽象的な地平を「論理空間」と呼ぶ。論理空間は潜在論理に統御された、一つの場である。
(0.1).(0.0) 論理空間は意味・価値の地平であり、主体にとって真に意義を有する。
(0.1).(1.0) 論理空間自体は生命にとって無窮の闇、無限の奈落である。
(0.2). 論理空間における最初の存在、最初の価値を与えるものは信仰=妄想である。
(0.2).(0.0) 信仰=妄想は論理によって恣意性を暴露されると崩れてしまう。
(0.2).(0.1) 従って信仰=妄想は語られないことによって維持される。
(0.3). 存在の上には、論理に従って存在が積み重ねられる。
(0.3).(0.0) 従ってあらゆる存在は最初の存在が語られないことによって維持される。
(0.3).(1.0) 如何なる存在も妄想=信仰の働きによって、「最初の存在」に転化しうる。
(0.3).(1.0).(0.0) 最初の存在を自在に生み出す能力において、人間は卓越している。
(0.3).(1.0).(0.1) この能力によって、人間は理論上、無限の意味・価値を生み出しうる。
(0.3).(2.0) こうして組み立てられた価値観体系が我々に語る真実を第二真実と称する。
a.第一真実は生の意味をも否定するため、生命は生存のためには、最初の存在については沈黙せねばならぬ。
b.日常は第一真実を隠蔽し、価値観体系を強固にするが故に、第二真実の地平において、真に意義あるものと言える。
c.第一真実は虚無であり、日常の地平においては虚偽(第二虚偽)である。
d.論理的言説は、その根底に語られない最初の存在を踏まえることで、はじめて日常の地平において意味を有する。
e.論理を厳密化すると、最終的には第二真実が崩壊し、第一真実に到達する。すなわち論理的言説は万物を崩壊せしめ、虚無を囁く。
f.若者は日常との関係性が薄いが故に、しばしば第一真実を語り、生の意味を否定する。
g.万物の原理を語る類の哲学者にとって、尊厳とは「第一真実と向き合いつつ、敢えて命を長らえる」ところ、
あるいは「日常を生きながらも第二真実を破壊し続けること」ところに存する。