本レポートはやや曖昧な二部構成を取る。第一部でヒュームが提起した因果説
について、同名因果説とも随時比較しつつ、やや距離をおいて考察を加える。
第二部ではヒュームの因果説、同名因果説双方に学んで、説得的な因果論の構
築を試みる。第一部は、著者がこのような論述に不可欠な要素である知識につ
いて余りにも貧困なため、遺憾ながら至極簡単な言及に留まらざるを得ない。
第二部は、たかが講義の評価レポートが目指すには大きすぎる目標であり、よ
うやくその端緒についたという段階で、論点の洗い出し程度のことしか期待で
きない。概して至らないレポートであることを、初めにお詫びせねばならない。